当院で診ている主な疾患

以下の疾患は当院で主に診察している疾患になります。

もちろんここに書いている疾患以外も診断・治療しています。また当院で治療困難な疾患は姫路医療センター、姫路赤十字病院、聖マリア病院、姫路中央病院などに紹介させていただきます。

胃食道逆流症(GERD)

胃液や一旦胃に入った食べ物が食道に逆流し、食道を刺激してでてくる症状をまとめて「胃食道逆流症(GERD)」といいます。症状としては胸焼け、酸っぱいものが上がってくる感じ(呑酸)だけでなく、ゲップ、嚥下(えんげ)時つかえ感、嚥下時の痛み、胸部痛、背部痛、喉のイガイガ感、から咳など色々な症状が出現します。また不眠の原因にもなります。

同様の症状を示す疾患として、食道腫瘍、胃噴門部(胃の入り口)の腫瘍等がありますので、治療開始後でもいいので胃カメラによる検査を受ける必要があります。

治療としては胃液を抑える薬(H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害薬、カリウムイオン競合型アシッドブロッカー)を用いて、胃酸分泌を抑えることが効果的です。また肥満による内臓脂肪が胃を圧迫することにより発生することもあるので、ダイエットも効果があります。

ただし食道裂孔ヘルニアが原因の場合には、手術が必要になることもあります。

 胃食道逆流症(GERD)についてもっと詳しく知りたい方はこちら↓


消化性潰瘍

食べ物を消化するための胃液や消化酵素が胃壁や十二指腸壁も溶かしてしまいうことを「消化性潰瘍」といいます。

症状としてはみぞおちや上腹部の痛みであり、胃潰瘍は食事をすると痛みが強くなり、十二指腸潰瘍はお腹がすいているときに痛くなるのが特徴です。また大きな潰瘍になっていくと出血し、吐血や下血で発症することもあります。

原因はストレス、喫煙、暴飲暴食等が上げられますが、後に述べるヘリコバクター・ピロリという細菌が原因のこともあります。また痛み止め(非ステロイド性消炎鎮痛薬:NSAID)や抗凝固薬(アスピリン)が原因のこともあります。

放置しておくと、胃壁や十二指腸壁が溶け、その修復が間に合わなくなるとどんどん大きな潰瘍になっていきます。胃壁や十二位腸壁に穴があき(穿孔といいます)腹膜炎を起こすと、手術が必要になることもあります。

上腹部の痛みや吐血・下血を起こす病気は他にもたくさんありますので、まずは胃カメラによる検査を受けて下さい。

治療は胃液を抑える薬(H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害薬)を用いて、胃酸分泌を抑えることが効果的です。痛み止めや抗凝固薬が原因の場合には、薬を別のものに変更するも検討します。また禁煙、生活習慣の改善も有効です。

消化性潰瘍についてもっと詳しく知りたい方はこちら↓


胃の病気とヘリコバクター・ピロリ

ヘリコバクター・ピロリ(以下ピロリ菌)という細菌が胃の病気に関連していることが分かっています。

ピロリ菌はヘリコプターに似た形をしていることからこのような名前が付けられました(右のイラスト参照)。強い酸性のである胃の中には、通常最近は繁殖できないのですが、ピロリ菌はウレアーゼという酵素を用いてアンモニアを産生し、胃酸を中和して生活しています。

ピロリ菌によって慢性胃炎、難治性消化性潰瘍、胃癌、胃MALTリンパ腫といった疾患が発症することが分かっています。また特発性血小板減少性紫斑病(ITP)という血液の病気にも関係していると言われています。そのためピロリ菌が感染しているのが分かった時点で除菌を勧めています。

ピロリ菌の検査は、患者さんの負担が少ない検査として血液検査や尿素呼気試験、糞便試験があります。また胃カメラ時にピロリ感染が疑われた場合には、胃の組織の一部をとって(組織診)検査することもあります。

除菌治療として、胃酸を抑える薬(プロトンポンプ阻害剤もしくはカリウムポンプ競合型アシッドブロッカー)に2種類の抗生物質(クラリスロマイシン+アモキシシリン)を7日間服用します。通常、3ヶ月後に尿素呼気試験を行い、除菌が出来ているかを判定します。除菌できていない場合には、お薬の一部を変更して再度除菌治療を行います。2回の治療による除菌率は97%と言われています。

ピロリ菌についてもっと詳しく知りたい方はこちら↓


高血圧・糖尿病・高脂血症・高尿酸血症

高血圧・糖尿病・高脂血症・高尿酸血症は、原因が塩分の取り過ぎ、肥満、運動不足、食事の偏り等であるため「生活習慣病」と言われています。

しかし、これらの疾患は放置しておくと命の危険性がある病気ばかりです。

高血圧は放置していると心筋梗塞や脳卒中の原因になります。

糖尿病は糖尿病性網膜症、末梢神経障害、糖尿病性腎症等で最終的に失明、手足の知覚障害、腎不全による透析になる可能性があります。

高脂血症は動脈硬化から心筋梗塞や大動脈瘤などの大きな病気を引き起こす可能性があります。

高尿酸血症は、いわゆる「痛風」であり、関節(代表的なのは足の親指の付け根)の痛みと腫脹、痛風腎といわれる腎障害、尿路結石の原因となります。また重症化すると心臓にも異常が出てきます。

生活習慣を治すのがもちろん重要なのですが、薬により検査結果を正常に保つことも重要です。

健康診断等で生活習慣病の疑いがあると言われた方は、ぜひご相談下さい。

 

 


胆石症

胆石はコレステロール、ビリルビン等が濃縮されることによりできます。その発生部位により、肝内結石症、胆のう結石症、総胆管結石症に分けられます。ここでは一番多い胆のう結石症について説明します。

原因として、高コレステロール血症、肥満、胃切除後、細菌感染などが多いですが、まれに胆管癌、膵胆管合流異常症といった特殊な病気も原因になります。

胆石症の症状の特徴的なものは、脂っこいものを食べた食後に、みぞおちから右上腹部の我慢できないほどの強い痛みがあります。人間が我慢できない三大通(胆石症、尿路結石、虫歯)の一つです。痛みが治まらない場合や高熱、黄疸を伴う場合は入院治療が必要ですし、意識障害、ショック症状(血圧低下など)を認める場合には緊急処置が必要です。

胆石症の診断は8割は腹部エコー検査で可能です。ただし小さい総胆管結石等ではエコーで診断がつかないことがありますので、CT検査や内視鏡による精密検査が必要です。

胆のう結石があるだけですぐに手術をする必要はありませんが、①痛みを繰り返して起こす場合、②胆石の数が多い場合、③胆石が大きい場合は手術をお勧めします。また痛みを繰り返す場合や胆石の数が多い方は、胆のう癌の発生率が高いといわれていますので、精密検査と早期の手術をお勧めします。

胆石症についてもっと詳しく知りたい方はこちら↓


膵炎

膵炎は慢性膵炎と急性膵炎に分類されます。

慢性膵炎の主な原因は長期のアルコール過剰摂取です。アルコールを過剰摂取することにより、慢性的な膵臓の炎症が起こり、本来脂肪やタンパク質を消化するために分泌される膵液が自分自身を溶かす「自己消化」というものが起こります。その結果、膵臓が固くなったり(線維化といいます)、膵臓内に石が出来てきます。その結果、膵液が正常に分泌できなくなり、慢性的な下痢、上腹部痛、背部痛、嘔吐などを繰り返します。またインスリンを産生する膵臓が壊れていくため糖尿病を発症することも多いです。進行してくると消化不良からどんどんやせていきます。

慢性膵炎はなってしまうと治すのが難しい病気です。禁酒、脂っこいものは控えるなどで痛みが起こらないように注意することがもっとも必要です。また根本的に治すことは難しく、蛋白分解酵素や消化(膵酵素)剤の大量投与や胃酸を抑える薬の投与など対症療法しかありません。また多くの膵石がある場合には、手術を行うこともあります。

これに対し急性膵炎はこの「自己消化」が急激に起こるもので、短期間でのアルコール過剰摂取、重症の高脂血症、膵管出口付近での総胆管結石による閉塞などが原因で起こります。その他には膵臓癌や膵癒合不全といった特殊な病気や、内視鏡検査の合併症、特発性といって原因不明の場合もあります。

急性膵炎は以前に比べると治ることが多くなりましたが、重症化すると今でも50%以上の死亡率がある非常に危険な病気です。慢性膵炎が急激に悪くなるとこの急性膵炎と同様に扱いますので、慢性膵炎の方はより一層の注意が必要です。

慢性膵炎についてもっと詳しく知りたい方はこちら↓


痔(じ)

痔は①内痔核・外痔核(いぼ痔)、②裂肛(切れ痔)、③痔瘻(あな痔)に分けられます。

内痔核は肛門の内部に静脈瘤が出来ることにより出来る痔で、痛みはありませんが出血する事があります。また大きくなって肛門の外に脱出(嵌頓)するようになると痛みを来します。

外痔核は肛門のすぐ外の皮下に血液が固まることにより発症し、数mmから1cmほどの丸い痔で、強い痛みを伴います。

裂肛は便秘等により便が硬くなったときや異物により肛門が裂けることにより発症し、排便時に痛みと出血を伴います。

痔瘻は細菌感染により膿瘍が慢性化し、肛門の中と外に繋がってしまい、膿が出たりします。

痔は①シャワートイレ等を使って肛門周囲を清潔にしておく、②香辛料等の刺激物の摂取を控える、③毎日入浴し、肛門周囲のマッサージを行う、等で予防することが出来ます。また便通を整える、患部は冷やさないようにする、軽い運動をする、野菜や果物でしっかり繊維を摂取することにより、再発を防ぐことができます。

治療としては、内服、軟膏、坐薬等で治療を行いますが、便が硬いときには下剤を併用することがあります。重症化すると手術が必要になることがあります。

肛門からの出血は別の疾患(肛門腫瘍や直腸がん等)を伴うことがあるので、必ず診察を受けましょう。

 

 


粉瘤(ふんりゅう/アテローム)

粉瘤は一般的に「おでき」とか「脂肪のかたまり」と表現されますが、全く別物です。

粉瘤は皮膚の一部がめくれ込み、その中に本来外に出るはずの垢や皮脂がたまり袋状に大きくなっていきます。

通常は痛みはなく、徐々に大きくなってきます。大きいものになると10cmくらいまで大きくなることがあります。痛みが無い状態のうちに、局所麻酔をして皮膚の開口部と一緒に袋を取り切るのが一番いい治療法です。

しかし細菌が感染すると、赤く腫れ、痛みを伴います。この状態が続くとぶよぶよになり、最終的には破れてくさい膿が出てきます。そのため痛みを伴う場合には、少し皮膚を切って膿を出してしまうか、抗生物質で一旦炎症を抑えて、改めて切除します。

粉瘤が出来やすい人は一旦切除しても、その周囲に再発することが多いのでお気をつけ下さい。

粉瘤についてもっと詳しく知りたい方はこちら↓